金融webライター_MOTO

将来の地域経済、生活設計、金融サービスに関する情報を調べてまとめるブログ

地銀の機能不全を警戒した金融庁が、令和元年度「金融行政方針」を発表

金融庁は8月28日、1年間(2019年7月~2020年6月)の同庁の方針である「金融行政方針」を発表した。同方針では、人口減少等から今後見込まれる地方の衰退を懸念し、地方創生の担い手としてかかせない地銀の経営改革が待ったなしということを強調するものに。

金融庁発表:利用者を中心とした新時代の金融サービス~金融行政のこれまでの実践と今後の方針~(令和元事務年度)

www.jiji.com

 

金融庁は、同方針で銀行による企業の株式の5%保有制限の緩和や、預金保険料の「可変料率」導入を検討、不正防止のため求めている定期的な人事異動を見直し等によって地銀の取組みを後押しする

一方で、6月に見直した早期警戒制度は、銀行の将来のビジネスモデルや収益性を重視し、本業利益の赤字が続いたり、自己資本比率が4%を下回ることが見込まれることになれば、立入検査や業務改善命令を打つことによって厳しく対応する内容。

この方針の結果、規制緩和が進めば銀行が地方創生策として取り組んでいる、地方の中小企業の事業承継や雇用確保が進むかもしれない。また、銀行の古い体質・マインドを変えるきっかけとなるかもしれない。

銀行の持続可能なビジネスモデルの転換が進まないことに、5年以上も改革を求めている金融庁は、実力行使に移るのが狙いだろう。

人口減少や若者の都会への流出、事業者の減少などを背景に衰退が見込まれる地銀のビジネスモデルの持続可能性について、全国各地の財務局と金融庁が一体で対話や検査を進めていくこととなる。

地方の財務局と地銀は最も近いが、金融庁はどのようにコントロールしていくのか。また、「対話」って何? 金融行政方針と同時にひっそりと公表された以下のレポートにヒントがありそうだ。

2019.8.28金融庁発表:金融仲介機能の発揮に向けたプログレスレポート